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あの日の声【咲良】

「さようなら」
耳についた声が離れない。
とても幸せそうな楽しそうな笑顔で。
その後の行動とはとても不似合いな眩しい笑顔で。

瞬間、彼女は消えた。
落ちたのだ。自らの足で。

「知ってる?飛び降り自殺ってさ、落ちてる途中で意識を失って死ぬんだって」

いつか彼女が言っていた。
その頃から彼女は、今日のことを予期していたのだろうか。
いつも笑顔だったから、自分が気づいてやれなかったのだろうか。
日に日に増える彼女の生傷は知っていた。
知っていたが、それを霞ませるくらい、彼女は笑っていた。
笑顔を向けて貰えなかった俺に、眩しい笑顔を向けてくれた。

それに甘えてたんだ。

彼女のおかげで笑うことを思い出した。
彼女のおかげで友達ができた。
彼女のおかげで俺は一人じゃなくなった。
彼女のおかげで、

悲しむことを覚えた。

「──────!!!!」
叫んだ。彼女の名前を、何度も、何度も。
最後には意味の分からない言葉を繰り返した。

右目から涙がこぼれ落ちる。
ぼろぼろ、ぼろぼろ
止まらない。
左目につけた眼帯の裏に彼女の最後に見せた笑顔がみえた。

享年17歳。
彼女の人生は
独りだった俺を救って
幕を閉じた。

後日、彼女の遺書がみつかった。
遺書、といっても、ちぎられたノートのはしっこに書かれたメモのようなものだった。

咲良はもう大丈夫だよ。人を信じられる。

たった一言、それだけ。

本当に、彼女の考えることは最後まで理解できなかった。
大丈夫?そんなことない、全然。
貴女がいないと、俺は、人を信じることすら難しい。
でも、ほんの少し、貴女の影響は残っていたようで。

「咲良、なにぼーっとしてんの」
「咲良兄さん?どうかした?」
「いや、なんでもない。」


「さて、いこうか」
俺は少しだけ笑って、一歩、歩み出した。
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[ 2014/01/06 22:45 ] 小説 針野家 | TB(0) | CM(0)

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